『詩経』 秦風 黄鳥(しきょう しんぷう こうちょう) その5 捕捉
~ チャイナ古代の殉死に見る空気(風潮) ~
【還暦ジジイの説明】
一つ目の解釈「殉死は仕方ないとする空気(風潮)」について私見で補足する。
昔の戦争では、白兵戦が主。
当然、兵士は戦場へ赴き、指揮官から「突撃~!」の命令が下れば、敵陣へ突っ込む。
敵の城壁を登る。
最初の矢に当らずとも、二本目、三本目の矢に当る。
それを搔い潜っても、鑓に斃れる。
全ては、君主の為であり、家族の為である。
では、戦場へ出向かない、文官や君主の側近、妻妾たち。
彼らに命の危険はない。
君主の傍に侍って、のうのうとしているだけか!?
命掛けの覚悟はないのか!?
と、兵士は憤慨する。
三国志で、関羽と張飛が、諸葛亮孔明に詰め寄る場面があります。
「先生は、戈を持って戦場へ行かないのですか!?」と。
孔明が軍師となった初期の頃とは言え、孔明に対してですよ~(驚)
だから、他の文官に対しては、撲ったりしている。
武将は、君主の存命中、命令に従い死地へ赴く。
亡くなった後も、軍事力を維持する為に必要である。
しかし、文官は、どうか?
「君主が亡くなれば、一緒に墓へ入れ!」
ぐらいは、関羽や張飛なら、平気で言う。
これが、君主以外の武将や一般兵士、或いは兵士の親族たちの気分、要するに、空気(風潮)である。
<その6へ続く>
はじめに その1 その2 その3 その4 その6 その7 その8 その9
【語彙説明】
○黄鳥(こうちょう) ・・・ コウライウグイス(高麗鶯)
○穆公(ぼっこう) ・・・ 春秋時代の秦の君主は、「公」と称した。他国なら「穆王」であろう。
○白兵戦(はくへいせん)・・・刀・剣・槍などの白兵を手にして行う戦い。至近距離での戦闘。
○白兵(はくへい)・・・抜き身の刀。白刃。
また、斬る・突くという機能を有する兵器で、刀・剣・槍など白刃を有する武器の総称。