『寒山拾得』 (かんざん じっとく) その1 ‐ 要約 ‐   著:森鴎外


【還暦ジジイの解説】


今回は、数度に分けて書こうと思う。

この『寒山拾得』は、森鴎外が、子供に聴かせる目的で、古代チャイナの(はなし)烏鷺覚(うろおぼ)えで書いた短編小説です。

原典に当っていず、従って、登場人物を含め内容の真偽は定かでない、と(あらかじ)め断っています。

(すなわ)ち、良く出来た御伽噺(おとぎばなし)だ、と心積もりしてくれと云う訳ですね。


【登場人物】

閭丘胤(りょきゅういん):台州の主簿(しゅぼ)(日本で云えば県知事)。

豐干/豊干(ぶかん):乞食坊主。お釈迦様ではないか。

寒山(かんざん):石窟(せっくつ)に住む小僧。文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の化身だと豊干が言う。

拾得(じっとく):国清寺(こくせいじ)の小僧。普賢菩薩(ふげんぼさつ)の化身だと豊干が言う。

道翹(どうぎょう):国清寺の僧侶。

【噺の要約】


 古代チャイナ、唐の時代。

 閭丘胤と云う官吏が原因不明の頭痛に悩まされていた。

 噂を聞いた豊干と云う乞食坊主が、突然来訪して頭痛を治してしまった。

 恐れ入った閭は謝礼を渡そうとしたが豊干は受け取らなかった。

 益々尊敬の念を抱いた閭は、弟子を紹介して貰った。

 一人は、寒山と云い。文殊菩薩の化身だとのこと。

 もう一人は、拾得と云い。普賢菩薩の化身だとのこと。


 閭は、国清寺へ行った。

 国清寺の僧侶・道翹から二人の話を聞いた。

 拾得は豊干が松林(まつばやし)の中から拾った捨子(すてご)

 寒山は石窟(せっくつ)に住んでおり、拾得から残飯(ざんぱん)を貰っている、とのこと。

 道翹は二人を呼び閭に紹介した。

 二人とも、ぼろを(まと)い、草履(ぞうり)穿()き、蓬髪(ほうはつ)()せぎすの子供だった。

 閭が二人に丁寧(ていねい)挨拶(あいさつ)すると、二人は顔を見合わせ、思わず吹き出して、走って出て行ってしまった。

 「また、豊干の悪戯(いたずら)だ!」

 と、外で二人が大声で笑いあうのが聞こえた。

 閭は、そこに茫然(ぼうぜん)(たたず)んだ。



【還暦ジジイの解釈】


どうです?

要するに、真面目な閭丘胤が、偶然治された頭痛が原因(もと)(だま)された話なんですね。

はははは


もし、若い頃に聴かされたとすると、閭って馬鹿だなあ、と思ったに違いない。

自分は大人になっても、騙されないぞ、と。


しかしですねえ。

実は、こんな単純な話ではないんです。ははは

まず、「その2」から「その4」で原文に目を通して頂きたい。



  お急ぎの方は、「その4 本文(C)」の要約だけ読んでいただければ結構です。

  その2 本文(A)その3 本文(B)その4 本文(C)




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