― 観る将ファンの為に ―
第12局 羽生九段がA級陥落!
A級は順位戦の最高クラスで、10人のみ。トップ棋士の証。タイトル保持者並みの扱いで崇められる。
その上、年間勝率が生涯初の5割を切った。ギャーッ!!
将棋ファン歴40年の私にとっては、心にポッカリ穴が開いた様な気分です。
野球界で言えば、イチローが年間200本安打を達成出来なくなった時の落胆に匹敵するでしょうか。
羽生さんは、現在、満51歳。
棋界雀は、簡単に、
「もう歳だから」
と、片付けていますが、それは、違う!
と、私は、観ています。
本気で将棋だけに集中すれば、未だ未だ、A級の座どころか、名人も奪還できた。
羽生さんは、25歳で七冠同時制覇を成し遂げましたが、それから2年ほどで、次々とタイトルを失いました。
目標を見失ったんでしょうねえ。
そして、自分を見つめ直したんでしょうねえ。
「技術の研鑽」だけが、棋士の本分ではない、と。
だから、「もう一度、七冠を目指しますか?」との度々の質問に、必ず、
「いえ、目指しません!」ときっぱり答えています。
ファンとしては、常に複数タイトルを保持し、A級て居て欲しいと願います。
プロ野球で云えば、毎年、三冠王を獲って欲しいと願うに近い。
ところが、これをやろうとすると、
生活の全ての時間を「将棋の技術の研鑽と対戦相手の研究」に、
費やさなければならなくなる。
昔から、「野球バカ」と云う言葉があります。
現役選手として、一生懸命、野球技術のみに全力を注ぎ、野球以外の教養がゼロの選手を
いざ、現役を引退すると、コーチや監督の指導者としての能力や教養が
野球の故・野村克也監督(好きじゃないけど笑)が選手に開口一番、教えてましたね。
「人生、現役を引退してからが長いんだ」と。
羽生さんは、脳科学者・茂木健一郎氏に、「将来どうなっていたいですか?」との問いに、
「自分の想像できないものに成っていたい」と答えています。
「えっ!?想像できないもの?例えば、ハリウッドの俳優とか?」
「ええ!ええ!そうです!そうです!」
私は、羽生さんがA級陥落を期に、現役引退したら良いのになあ、と、期待しています。
何故なら、現役引退後の羽生さんの第二の人生を見てみたいからです。
いや、それどころか、もし将棋界から離れることが出来たら、一体、どう化けるのか、と、想像を膨らませるくらいです。
五十代の若い時に!
近年の羽生さん
10年前の羽生さん
七冠同時制覇(平成8年)
畠田理恵さんと結婚当時
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【追記】
「スーパースター」とは、業界での実力ナンバーワンであると、同時に、教養と品位を兼ね備えていなければならない。
将棋界が実力制になって約80年、「スター」と呼ばれる棋士は、升田幸三九段、米長邦雄永世棋聖と居た。
政界だろうが、産業界だろうが、他の業界の第一人者と話をさせても引けを取らなかった。
しかし、この二人は、実力的には、大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人に後塵を拝した。
だから、「スーパースター」とまでは、云えない。
吾らが羽生善治は、両方ともに兼ね備えた「スーパースター」である。
現在、現役棋士と引退した棋士及び女流棋士も含めると約220名ほど居ます。
この中で、他の業界の人と最も交流がある棋士は、抜きんでて羽生さんでしょう。
出版書籍で、他の業界人も含め、自分の専門技術以外の著書でベストセラーを叩きだしているのは、恐らく羽生さんがナンバーワンでしょう。
著書『決断力』『大局観』『直観力』は70万部を超えるベストセラー。
NHK『プロフェッショナル』の視聴者アンケートで、最も印象に残った言葉は羽生さんの一言だった。
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講演、対談、雑誌のインタビュー、加えて、将棋の普及活動。
将棋界で最も忙しい人と言われ続けて来ました。
そして、故・米長邦雄が将棋連盟会長だった頃、相談相手として最も頼りにされていたのも、羽生さんです。
【解説】 令和4年(2022年)2月5日現在
○羽生さん・・・将棋棋士・羽生善治永世七冠のこと。
羽生善治(はぶよしはる)のプロフィール。(詳細 wikipedia)
将棋界が実力制になって約80年、史上最強の棋士。将棋界のスーパースター。
将棋界七大タイトル(名人・竜王・王位・王将・王座・棋聖・棋王)の全て永世称号を有する。史上唯一人。
タイトル獲得数99期は歴代最多。通算対局数は2000局を超え、通算勝利数も歴代最多の1434勝(更新中)。
そして、何より史上最強の根拠は、通算勝率が7割を超えていることだ。
タイトルを1期獲得することもできない棋士が8割。1年間だけ勝率7割を記録することも困難な中、この実績である。
藤井聡太四冠(竜王・王位・叡王・棋聖)が将来羽生さんの記録を抜く可能性は大いにあるが、最速でも15年以上先の話。
但し、聡太君は、今期(令和3年度)「四冠を既に保持し、19連勝も記録、通算勝率も8割を超えている」ことで、
既に、瞬間的には羽生さんを超えた、と云える。