曲江(きょくこう)   作:杜甫


【還暦ジジイの説明】


 今回も律詩の名人と謳われた杜甫の七言律詩。

 


【原文】


  曲江   杜甫


 朝囘日日典春衣  毎日江頭盡醉歸

 酒債尋常行處有  人生七十古來稀

 穿花蛱蝶深深見  點水蜻蜓款款飛

 傳語風光共流轉  暫時相賞莫相違


【読み下し文】


 朝より回りて日日春衣を典し、毎日江頭に酔を尽して帰る

 酒債は尋常行く処に有り、人生七十 古来稀なり

 花を穿つの蛱蝶は深深として見え、水に点ずるの蜻蜓は款款として飛ぶ

 伝語す風光共に流転して、暫時相賞して相違うこと莫れと


【現代口語訳】


 朝廷の仕事を終えると、毎日春の衣服を質に入れ、

 曲江のほとりで酒を飲み、じゅうぶん酔ってから帰る。

 酒の借金はいつも行くところ、どこにでもあるものだ。

 そんなことは大したことではない。

 それより、人生は短く、七十歳まで生きた人はめったにいないのだから、

 せめて生きている間、酒でも飲んで楽しもうではないか。

 花の間の入って蜜を吸うアゲハ蝶は、奥深い所に見え、

 水面にときおり尾をつけながら、トンボはゆうゆうと飛んでいく。

 風光に伝えよう、私と共に流れてゆき、

 しばらくの間お互いに讃え合って、背き合うことのないように、と。


【解説】

 形式は、七言律詩。  衣・歸・稀 ・飛・違が韻を踏んでいる。

 作詩された時代は、盛唐(西暦710~765年)。


【語彙説明】






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