春本版『四畳半襖の下張』(よじょうはんふすまのしたばり)

 18歳未満入室禁止です!(笑)


 私流の現代口語訳 全文(6)


袖子は、指先でクリトリスを(いじ)られているうちに、

時々腰をモジモジ、鼻息を次第に(はげ)しくして、

男を抱く腕の力の入れ方は初めと大分(だいぶ)違った様子となる。


 


(まさ)しく本当に()きそうになる(きざ)しと分ると、

すかさず、私は挿入したままで半身を起こし、元の正常位となり、

大腰でスカスカと四五度攻める。


 


女は首を斜めに動かして、やがて両足を左右に踏ん張り、

思う存分に股を開いてペニスを自分から子宮の奥に当てさせる積りなのだ。


こうなっては何をするのも私の思うがままと思えるが、なお大事をとる。


接吻などせず、ただ腰を速めて様子を(うかが)うと、

女は(たちま)ちガックリと枕を外して、そのまま直そうともしない。


もうしめたと、腰を遣いながら半身を起こして、手早く長襦袢(ながじゅばん)の前を広げる。

親指の腹でクリトリスを攻めると、袖子は(たま)らないという風に身を藻掻(もが)き、

思わず、よがり声を高く発すると、それにハッと気づいて、襦袢の袖で顔を隠すのだ。


私の方は、ますます泰然自若(たいぜんじじゃく)として、(ついで)に女の伊達巻(だてまき)()き捨てて、

腰巻を引き(はだ)け、むっちりとして雪のような裸身を、電灯にくまなく照らして眺める。


自分も浴衣(ゆかた)を手で払いのけ裸になって、女を両足(もも)より(すく)い上げるようにし、

こちらへ少し()り身にならせて、ペニスが膣へ出入りする様子を見ながら腰を動かすのは、

何とも言えないものだ。

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どうやら、私の方も良くなって来そうなので、これではいけないと上になって、

浅く腰を(つか)って、ただ親指のみ動かしていると、女は身を震わせ夢中で下から腰を持ち上げて、

襦袢の袖をかみしめ、声を呑んで泣きいる風情だ。


肌身と肌身とがピッタリ合って、女の乳房は我が胸にむず(がゆ)く、

アソコはすでに火の如くなっているので、どうにも我慢ができない状態なのだ。

しかし、ここをもう一つ辛抱すると、女がよがり死ぬかも知れないと思う。


息を殺して片唾を呑みつつ心は他のことを考えて、今際(いまわ)(きわ)には、

もう一倍よくさせた上でヨガらせて、自分も静かに往生しようとの計画だ。


両手で肩の下より女の身をぐっと一息に(すく)い上げて、

女を膝の上に乗せる居茶臼(対面座位)にして、下からグイグイと突き上げながら、


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片手の指はクリトリス攻め、尻を抱える片手の指は女の肛門に当て、

尻へと流れる淫水を指で伸ばしながら、ゆっくり(いじく)ってやる。


そうすれば、女は息を引き取るような声をさせて泣きじゃくる。

「いきます!いきます!いきますから!アレ!どうぞ!どうぞ!」

と哀訴するのは、前後三個処の攻道具のうち一つだけでも勘弁してくれという事だろうか。


髪がバラバラになって身を(もだ)えるよがり方で、

私の方も度を失って、仰向けになると、

女は騎乗位になって、上から()し掛かり、


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続けざまに

「アレ!アレ!またいく!またいく!」

と、連続で淫水をドッと吹き出す。

これだけよがらせてやればもう思い残しはないと、静かに私も気をやった(射精した)。


 【解説】

 著者(永井荷風)、金阜山人、古人(主人公)の3者が入れ子構造で話が構成されており、
 話し手を、それぞれ、《著者》、《山人》、《主人公》 と小文字で示す。
 話の大半は古人(主人公)であり、ページに話し手を示していない場合は、古人(主人公)である。



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