『銭形平次捕物控』 著:野村胡堂 より一部抜粋
【還暦ジジイの解説】
「弓矢」と「弓箭」がある。
どちらも訓読みで「ゆみや」と読み、同じ意味だ。
どうして「矢」と「箭」の二つの漢字があるのか?
どう使い分けるのか?
実は「矢」には「くそ。ふん。」(糞)の意味もある。
ええ~っ!?
でしょう?(笑)
野村胡堂作『銭形平次捕物控』に「闇に飛ぶ箭」(註1)という話がある。
この「箭」を「矢」にしてしまうと、「闇夜を飛ぶクソ」と読まれ、糞と誤解されかねない。
あははは
この誤読を避ける為に、「箭」にして限定したのであろう。
また、『野村胡堂捕物名作選集』第三巻に「白羽の箭」(註2)という話もある。
ねっ!決まり!
でしょう?
ところが・・・
同じ野村胡堂作で『池田大助捕物全集』第四巻に「闇の矢」(註3)という話がある。
そんなあ~
もう!怒るよ!
あははは
【註解】
註1.『銭形平次捕物全集第』二十一巻、同光社、昭和29年2月19日発行、「闇に飛ぶ箭」p5
註2.『野村胡堂捕物名作選集』第三巻、矢貴書店、昭和25年6月10日発行、「白羽の箭」p219
註2.『池田大助捕物全集』第四巻、同光社、昭和30年2月20日発行、「闇の矢」p79
【語彙解説】
〇「箭」は、形声文字(けいせいもじ)
部首(意味): 「竹」は、弓矢の本体が竹(または篠竹)で作られていたことに由来し、材質や種類を表しています。
音符(音): 「前」は、音(セン)を表すとともに、「進む」という意味も含んでいると考えられます。
これらを合わせることで、「竹でできた、前へ飛んでいくもの」という意味を持つ「箭(や)」という漢字が成り立ちました。
「箭」は特に矢の材料や形状に焦点を当てた表現と言えます。
折れにくいタモの木などが弓矢に使われていたという説もあり、丈夫な素材が選ばれていたことが語源的背景にあります。
〇「矢」は象形文字です。「や」の象形から「や」を意味する「矢」という漢字が成り立ちました。
【各種辞典より】
〇矢
【音読み】 シ
【訓読み】 や
【意味】〘 名詞 〙
1.弓のや。弓の弦にかけて飛ばす武器。
2.くそ。ふん。
〇箭
【音読み】 セン
【訓読み】 や
【意味】〘 名詞 〙
1.矢。弓で射る矢。
2.やがら。矢の竹の部分。
3.やだけ。しのだけ。矢を作るのに用いる。
〇弓箭
【読み】きゅう‐せん
【意味】〘 名詞 〙
1.弓と矢。弓矢(きゅうし)。
2.弓矢を射ること。射芸。
3.弓矢を取る身。武士をいう。弓矢取り。弓馬(きゅうば)。
4.弓矢を取って戦うこと。また、戦い。いくさ。戦争。弓馬。
〇弓矢/弓箭
【読み】ゆみ‐や
【意味】〘 名詞 〙
1.弓と矢。弓または矢。きゅうせん。
2.転じて、武器。兵器。干戈(かんか)。
3.弓や矢など武器に関する方面。武芸。武道。軍事。弓矢の道。
4.弓や矢を取る身。また、その家。武士。武家。武門。
5.弓矢による戦い。いくさ。戦争。
6.神社の随身門(ずいじんもん)に安置してある像の左方のもの。矢大臣。
〇弓矢
【読み】きゅう‐し
【意味】〘 名詞 〙
1.弓と矢。ゆみや。弓箭(きゅうせん)。
2.武芸。武門。武家。
3.馬の頭の中央にある旋毛。