『銭形平次捕物控』 「小唄のお政」 一 (こうたのおまさ) 著:野村胡堂 より一部抜粋


【還暦ジジイの解説】


 いや~、御職(おしょく)なんて、知らなかったなあ~

 時代劇の言葉は、記憶に留めるべきですよね~

 下らない「ビハインド」なんて言葉 ・・・ 汚らわしい!

 あはははは


【本文】


 銭形平次に悪気があるわけでなかったのですが、伯母(おば)口吻(こうふん)から察して、

ガラッ八の八五郎が小唄(こうた)師匠(ししょう)に気がありそうにも取れたので、

それとはなしに脈を引いて、意見をするものなら、今のうちに意見をしようと思ったのです。

 「親分、本当のことを言うと、こいつにはワケがありますよ」

 「そうだろうとも。二日も行かなきゃ、師匠の小唄お(まさ)が、迎えをよこすほどだって言うから、ワケだって大ありだろうよ。」

 「嫌だね。伯母さんが、そんな事までブチまけたんですかい」

 「人に意見などする歳じゃあねえが、小唄お政じゃあ御職(おしょく)すぎる。()す方が無事だぜ、八」

 銭形平次は漸く真顔を取戻しました。


【語彙説明】

〇脈(みゃく)を引(ひ)く ・・・ 見込みがあるかどうかを探る。それとなく相手の心を探る。相手の気を引く。

〇御職(おしょく) ・・・ 同類の中で最高のもの。随一。



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