劉安の饗(りゅうあんのもてなし)  第十二話 追記


劉安(りゅうあん)は、(もてなし)のため劉備に肉料理を出した。

実は、それは、愛妻を殺した人肉だった。

劉備は感涙(かんるい)した。

更に、劉備が曹操に経緯(いきさつ)を説明すると、曹操は立派な行いと称賛(しょうさん)し、劉安に百金を与えた。

と、書いた。

(さて)、ここからは、()が親友との酒の(あて)に取って置いたネタである。

この話だけで、朝まで酒が呑める。

嗚呼(ああ)!早く退院せんかい!(笑)

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この劉安の(もてなし)は、唖然(あぜん)とする!

正史(せいし)には無い、作り噺である。

しかし、美談として伝っているのであるから、真実と同等である。


吉川英治は、著書『三国志』に載せるかどうか、悩んだ挙句(あげく)載せたそうである。

おい!おい!

私は、話の内容より、吉川英治が悩んだことに、驚くと同時に落胆した。

何を躊躇(ためら)うことがあろうか!

読者を少年少女と想定したにせよ、絶対に載せるべきではないか!

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この話の疑問点を整理してみよう。

1.劉備だけに限らず、称賛した曹操も含め、当時、人肉を平気で食したのだ。ギャーッ!

 --- 愛妻を殺してまで、劉備を饗すとは、どういう価値観なのか? ---

2.相手がそれで喜ぶと思ったのか?ゲーッ!劉備は喜んだ!

3.愛妻に承諾を得ていたのか?

4.愛妻を殺す以外に売春や奴隷をさせて、食料を手に入れ様とは考えないのか?

5.殺さずとも、臀部の肉を削ぎ落すとか、片腕だけ切り落とすとか、考えないのか?

6.直ぐ見付かる様な厨房(ちゅぼう)に遺体を放置していたとは、どういう了見(りょうけん)か?

7.殺人の罪に問われないのか?

8.愛妻の身代りに年老いた母親を殺すことを考えなかったのか?

9.と、すれば、孝行が美徳だったのか?

10.ならば、息子・劉封は、自分の母親を殺した父親が、憎き敵となるが、そうはならないのか?


と、まあ、疑問は湯水のように沸きますねえ。

面白いですねえ。

だからこそ、載せて良かったのである。

ねえ!吉川英治殿!



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