ちょっと一服  その70 同窓会               2022.06.30



 四十五歳、中学校を卒業して三十年。

 同窓会で久し振りに会う友だちと、一瞬で中学時代に戻る。


 K子さんが当時仲の良かったM子さんと連れだって私の前に来た。

 「○○君!下敷きに名前書いてくれたこと、憶えてる?」とK子さん。

  私は中学二年頃、白い下敷きに黒のマジックでローマ字の名前を書き、それを白いボンドでなぞって固める遊びをしていた。

  意外と人気があって、僕も私もと、数人の同級生に作ってやった。

  自慢ではないが、否、自慢だ(笑)。私のローマ字は実に綺麗だったのだ。エヘン

  その中の一人がK子さんだった。


 「ああ、憶えてるよ」

 私は、昨日のことのように、彼女の言葉と表情まで憶えていた。


 田舎の中学校ですから、半分の同級生は小学生から、否、保育園から一緒でした。

 要するに、幼馴染、兄弟同様です。

 だから、高校時代の同級生とは、全く違うんですね。


 記憶力が良いのは、私だけではなかった。


 三人から五人があちこちに輪を作り、皆、昨日の出来事を話すかのように盛り上がっていた。

 本当に、一瞬で三十年前の記憶が(よみがえ)るんですねえ。


 この現象に、相手も自分も、驚くと同時に、嬉しくて仕方ないんですねえ。



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