その24 「泰然自若」 前編
「泰然自若」と云う言葉は、昔から知っている。
では、実践できるか、と云うと、程遠い。
「一喜一憂」「周章狼狽」「戦々恐々」
と小心者なのである。
言葉で幾ら学んでも、実践出来なければ、身に付いたとは言えない。
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「良い話を聞いた」「良い本を読んだ」などは、一瞬は頭に入っても直ぐ記憶から消えてしまう。
これを「知る」と書く。
この「知った」ことを反芻して
これを「識る」と書く。
更に発展して、何度も、体験、実感し、痛切に身に染みて理解すること。
再度直面したときに落ち着いて行動できること。
これを「身に付く」「
適当な一文字が無い。「体得る」と書いて「しる」と読ませたいが、ちょっと強引か。
「染る」と当て字に書くしかないか。
「知る」「識る」では、実践できない。
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最近、この「泰然自若」を「体得」した。
と、ひとり
そのコツは何かと云うと、基準を持つことである。
こんなこと、知識として昔から知っていた。
しかし、実際に直面すると、周章狼狽、頭の中は真っ白。
基準なんて吹っ飛んで、跡形もなかった。
ところが、今回、どういう経緯か、心境の変化か、分からないが、
「腹の底で捉えたぞ。実際の局面に直面しても、慌てないぞ」
と、しぜんと自信を持てたのである。
今年は、愉しみな一年に成りそうな予感がする。
【解説】
泰然自若(たいぜん じじゃく)・・・心に余裕があって落ち着いて、どんなことに対しても常に冷静な様子。
周章狼狽(しゅうしょう ろうばい)・・・予想していなかったことが起きて、ひどく慌てること。
北叟笑む(ほくそえむ)・・・うまくいったことに満足して、一人ひそかに笑う。
〔語源〕古代チャイナ、北方の塞(とりで)近くに占いの上手な老人(塞翁)が住んでいた。
ご存知、「万事塞翁が馬」の故事(『淮南子』人間訓より)の老人である。
「北叟(ほくそう)」とは「北方の老人」を意味で、「塞翁」のこと。
「禍福いずれの場合も達観したように落ち着き払い、かつ喜ぶときにも憂うときにも少し笑みをたたえた」
と伝えられ、このことから、「北叟が微笑む」→「ほくそ笑む」ということばが生まれた。