ちょっと一服  その19  四畳半奮闘記。その4   



春本版『四畳半襖の下張』裁判で、被告人を弁護すべく証言に立った開高健が、後日、野坂と対談したときの話。


 「ポルノ、春本、エロ本、こう云うものは社会に害はない。

 人間を個別化するだけで、社会に対して何か影響は与えない。

 これが、宗教家や革命家は気に入らない。」


 「社会に影響を及ぼす本はいくつかあるけれど、

 二つ挙げると、『バイブル(聖書)』」と『資本論』。

 この本を読んで影響を受けた人は、集団化する。

 ポルノを読んでも人間は集団化しない。」


 要するに、社会に何ら悪影響を及ぼさないものを権力で取締る必要はないだろう。

 それよりも、マルクスの『資本論』でも発禁処分にした方が()(かな)っている。

 と、開高氏は仰るのだ。

 流石ですね。

 もっと長生きしてほしかった。


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 開高健 NHK『アーカイブス あの人に会いたい』


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