えっ?ひょっとして私だけ?


 第4話 固い決心


 私は、仕事の待機中に大型量販店で休憩する。

 すると、ついつい衝動買いをしてしまう。

 理由は、休憩させて貰っているから ・ ・ ・ である。

 コンビニでトイレを借りるときの心理と同じですなあ。


 でも、これじゃあ、幾らお金があっても足りない。

 アカン!!

 一念発起して、「必要な物以外は、絶対買わない!」と決心した。


 昨日、店に入る時、

 「一円も使わないぞ!分かってるな!」

 と、再度、心に念を押した。

 もう、これで安心である。


 ところが、である。

 信じられないことが起こった。

 3分と経ってないのに、左の腕に買物カゴがぶら下って、

 その中に、餡子(あんこ)(まぶ)した串団子が鎮座(ちんざ)しているのである。

 ギャーッ!!

 一体誰が入れた!?


 本当に、心底驚いた。

 はははは

 情けない!


 ねえ、御同輩、ご経験あるでしょう?


 えっ!?
 ひょっとして、私だけ!?



 言い訳させて貰うと、こうである。

 買わないぞ、と誓った直後、

 「そう言えば、孫が御手洗(みたらし)団子が好きって言ってたなあ。 

 いや待てよ、長男は、粒餡(つぶあん)の団子が好きだったなあ。  

 うわ~っ!どっちにしようかなあ。」  


 と、悩んでいるうちに、すっかり「買わないぞ!」の誓いを忘れてしまったのである。


【語彙説明】


 御手洗団子(みたらしだんご)

  「御手洗」は、「おてあらい」とも読め、トイレの意味になる。

  食べ物なのに、なぜこんな紛らわしい漢字が使われるのか。

 〔語源〕

  京都の下鴨神社では、毎年夏になると「御手洗祭(みたらしまつり)」が行われる。

  名称の由来は、下鴨神社の側を流れる御手洗川(みたらいがわ)。

  平安時代から続く由緒正しいお祭りだそうです。(笑)

  この祭の境内で売られていた物の一つに、串団子があった。

  爾来(じらい)「御手洗団子」と呼ばれるようになったとか。


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