漢詩とは何か その2


 ◇近体詩/今体詩

 近体詩は一句の字数や句の数(形式)の違いにより、絶句(ぜっく)律詩(りっし)排律(はいりつ)に分けられます。

 そして、それらは一句の字数が五字であれば、五言(ごごん)、同じく七字は七言(しちごん)の二種類あります。

 絶句のみ五字、七字に加えて、六字六言(りくごん)があります。

 絶句は四句、律詩は八句、排律は十句以上です。


 ◇絶句

 近体詩の中の絶句は、四句で構成され、第一句を起句、第二句を承句、第三句を転句、第四句を結句と呼ぶ。

 よく口にする「起承転結」は、これに由来する。


 では、五言絶句の例詩に基づいて説明します。


 〔原文〕


  秋浦の歌  李白

 (起)  白髪三千丈

 (承)  縁愁似箇長

 (転)  不知明鏡裏

 (結)  何處得秋霜


 <読み下し文、現代口語訳は、こちら


【説明】


 承句の「(ちょう)」と結句の「(そう)」が同じ響きです。

 五言詩では、偶数の句の最後に同じ響きの語を用いて「押韻(おういん)」します。

 漢字は一字一字に上がったり下ったりの「声調(せいちょう)」があり、一定の平らな調子を「平声(ひょうしょう)」、

 上る調子を「上声(じょうしょう)」、下る調子を「去声(きょしょう)」、つまる調子を「入声(にっしょう)」と言います。

 四つの声調ですので、これを「四声(しせい)」と言います。

 この「四声」のうちの平らな声調を「(ひょう)」、それ以外の声調を「(そく)」と言います。


 この平と仄を○と▲で表すと、次の様になります。

      1 2 3 4 5   1 2  3 4 5

 (起)  白髪三千丈   ▲▲ ○○▲

 (承)  縁愁似箇長   ○○ ▲▲

 (転)  不知明鏡裏   ▲○ ○▲▲

 (結)  何處得秋霜   ○▲ ▲○

   註:は押韻


 さて、○▲をよく見ると、二字目と四字目の○▲は必ず逆さに成っています。

 これを「二四不同(にしふどう)」と言います。


  <続く・・・>


【解説】

〇詩の形式による分類

 詩には、句数と字数が決っている定形の詩と、そうではない詩があります。

 定型詩は、絶句(ぜっく)律詩(りっし)という分類の詩があり、これを「近体詩/今体詩(きんたいし)」と言います。

 近体詩は、「平仄(ひょうそく)を合せる」ことと「(いん)()む(押韻(おういん))」という規則があります。

 近体詩以外の詩は古体詩(こたいし)と言い、これは韻を踏みますが、平仄を合せる必要はない詩です。


〇「平仄(ひょうそく)を合せる」とは。

  絶句や律詩の近体詩に、平字と仄字が規則的に配列することを言います。

 「(いん)()む」とは、同じ韻の字を詩句の特定の場所に置くことを言います。

 また、韻を踏むことを「押韻(おういん)」とも言います。


〇詩の数え方。

 一首、二首と「(しゅ)」で数えます。

 長編の場合は一篇、二篇と「(へん)」で数えることもあります。


()とは。

 詩は、行ごとに示すと分かり易いので、行ごとに改行します。

 その行のことを「()」と呼びます。

 一句が五字でできているものを五言(ごごん)の句、七字でできているものを七言(しちごん)の句と呼びます。



 次へ    前へ      教室     TOP-s