葎の雫、萩の下露(むぐらのしずく はぎのしたつゆ)


    りーやん!たーやん!今日は和歌を勉強しましょうね♪


       は~い!


     では、次の和歌を聞いたことありますか?

  「吉野川 その(みなかみ)(たず)ぬれば (むぐら)(しずく) (はぎ)下露(したつゆ)

   はい、藤原義孝(よしたか)の作でしょう!?


   はい!正解です!


  へ~っ!たーやん、物知りやなあ~

  じゃあ、意味は?


   おう!それは知らんのや!(笑)


    あははは、じゃあ説明しますね


 大きな吉野川も、その(みなもと)はわずかな雫であり露なんですよ、ってことです。

 分かりましたか?

    先生!全然憶え難いです!(笑)


   そうそう、もっと憶え易いのをご教授願います!(笑)

   はい!はい!(笑)
  じゃあ、とっておきの憶え方を教えてあげますね~

  義孝が、吉野川の(ほとり)で女性と逢瀬(おうせ)(たの)しんでいた・・・フフフ


   ほう!ほう!(笑)


    その女性の唇は濡れ雫の様。そして、下の方も露で溢れていた。

 そんな情景です(笑)


   うわ~っ、情緒溢れるなあ~(笑)



   うん、うん、溢れる!溢れる!

 先生!これ中々(なかなか)の新説じゃあないですか?



  あはは、有難う。憶えられますか?


       は~い!憶えました!



 【本来の解釈】


〇吉野川 その源を訪ぬれば 葎の雫(滴) 萩の下露

  【読み】よしのがわ そのみなかみを たずぬれば むぐらのしずく はぎのしたつゆ
  【意味】大きな吉野川も、そのはわずかな雫であり露である。
  【真意】一人一人の力や思いは(雫、下露のように)微小だが、自然と集まれば大きな力となる。
  【出典】『義孝集』藤原義孝

 「しずく」の漢字は、「雫」と「滴」の両様が見られる。

 「雫」は、雨のしたたり落ちる状態で主に自然現象を指す。
 「滴」は、物理的な水の状態で、水滴などを指す。

 よって、今回の場合、「葎のしずく」だけなら前者の「雫」が妥当であろう。
 しかし、「一滴一滴が集まれば大きな川となる」との意味からすると後者の「滴」が適当とも言える。

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 【人物プロフィール】


〇藤原義孝(ふじわら よしたか、954-974年)

 一条摂政太政大臣・藤原伊尹の三男。容姿端麗、超二枚目との噂。
 幼い頃から仏教への信仰心厚く、殺生はせず、専ら精進食だった。
 しかし、疱瘡に罹り、21歳お若さで夭折した。

 十代で妻(源保光の娘=醍醐帝の孫)を迎え19歳の時に長男・行成が誕生。
 なお、この行成は能書家「平安の三蹟」の一人である。(他2人は小野道風と藤原佐理)


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