月下氷人(げっか ひょうじん)


    りーやん!たーやん!新学期の2問目ですよ~♪


       先生の授業なら夏休み中でも来たのにな~


     あはは、有難う

 では、「月下氷人」って知っていますか?



     知りませ~ん(笑)


    はい!説明しますね

  結婚の手助けをする人。要するに、仲人ですね。


    先生、普通の説明は要りません。面白い説明をお願いします(笑)


   おい!おい!普通の説明も要るよ~(笑)


    はい!はい!フフフ
  じゃあ、とっておきの憶え方を教えてあげますね~


 江戸時代の話です。

 若い男女が、毎夕、村はずれの河原(かわら)逢瀬(おうせ)を楽しんでいた。

 石に腰かけた二人は初々(ういうい)しく、手を握り合うのがやっとの仲。


 満月のある日、雲に隠れて辺りが真っ暗になったとき、男が手を肩に回してきた。

 娘は、「ああ、いよいよだ」と期待し、目を(つむ)った。


 すると、もう片方の手が、(えり)の合わせ目に・・・

 (今日は積極的なんだあ)と女は思った。


 (しばら)くすると、今度は、(すそ)から手が・・・大事なところを触ろうと・・・

 (ええ~っ、下まで!?)と娘は、少し狼狽(うろた)えた。

 しかし、全てが初めての娘。無意識に股を強く閉じた。


 きっと男の手は(ひる)むに違いない、と期待していたのだが、意外にも力強く・・・

 と、その瞬間、娘は気付いた。

 「キャーッ!」

 そう、三本の手が娘の体に(まとわ)り付いているのだ。


 驚いた娘は男に獅噛附(しがみつ)き「他の男が居る!」と立ち上った。

 目を凝らすと、二人の前に薄汚れた老人が、(しゃが)んでいる。

 まあ、現代で言えば公園に徘徊(はいかい)する痴漢ですね(笑)


  男は、老人を(したた)か殴ったが、無性に腹が立ってきた。

  (俺でさえ、胸に触ってないのに・・・あのヤロー!)

  男は、娘の気持ちが解って積極的なった。


 それから三日後、二人は無事、結ばれた。

 月下の助平な老人が、二人を積極的にさせ、仲を取り持った、っていう話ですね。(笑)


   なるほど~、三本目の手に気づいたとき、氷(凍)っただろうなあ(笑)


    おっ!上手い!りーやん!(笑)


    アハハハ。ますます、冴えてますね~(笑)



   先生!次、次!




 【語彙説明】


〇「氷る」と「凍る」の違い。

  水が凝固したものが「氷(こおり)」。

  水が凍(こお)って氷になる。

  よって、りーやんの「三本目の手に気づいたとき、氷(凍)っただろうなあ」は「凍」が正しい。

  「凍(こご)える」「凍(い)てる」とも読む。


 【本来の解釈】


〇月下氷人(げっか ひょうじん)

 <意味>

 男女の間に入り、結婚の手助けをする人。いわゆる仲人(なこうど)のこと。

 「月下老人」と「氷人」を合せて意味したもの。


 【故事】

〇「氷人」

 チャイナの晋の時代、令孤策(れいこさく)という役人が、氷の上に立って氷の下の人と話をしたという夢の見た。
 占いの名人索紞(さくたん)に、この夢の判断を求めると、索紞は「氷の上は陽、下は陰。従って、この夢は氷が解けた頃
 結婚の世話をする前兆である」と解いた。
 すると、その占いは後に現実となり、孤策は大守の息子の仲人をすることになった。

〇「月下老人」

 チャイナの唐の時代、葦固(いご)という青年がいた。ある月夜に、青年は縁を結ぶという老人に出会った。
 その老人は、青年の将来の妻を予言し、十四年後に予言は的中した。


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