将棋の話 ― 観る将ファンの為に ―


  第2局 棋士の気質 その1



 私達、サラリーマンは、年間240日位、出勤し、同僚や上司、或いは取引先の人と口角泡(こうかくあわ)を飛ばす。

 夕方からは、同僚、または接待で毎晩のように呑みに行き、休日もゴルフで・・・

 だから、将棋界も同じだろう、と、つい想像してしまう。

 しかし、全く違うのだ。


 東京と大阪に将棋会館がある。

 棋士は、約160人、女流棋士を合せても、200人程度。

 毎朝、全棋士が出勤しているのか、と云うと、違う。


 その日に対局がある棋士のみが、将棋会館を訪れるのだ。

 少ない日は数人、多くて80人程度。

 棋士の平均対局数は、年間30局位。

 (すなわ)ち、2週間に1局なのである。

 活躍している棋士で、年間50~60局であるから、それでも週1回しか将棋会館へ行かない。

 ええ~っ!

 殆ど休みじゃん!!


  対局日以外の日は、将棋番組の解説役をしたり、将棋の勉強をしたり、将棋教室を経営したり・・・
  研究会仲間と月に一二度位、誰かの自宅に集まることもある。(3~5人)
  それでも、サラリーマンや自営業者より、遥かに自由時間は多い。
  一部の仲の良い棋士達は、対局のない日に、サッカー、フットサル、野球、テニスなどを一緒に愉しんでいる。
  しかし、大概は、他の棋士が、休日に何をやっているのか、知らないのだ。


 だから、20代の若手棋士や女流棋士などが、羽生さんと出会うと、

 「うわー!羽生さんだ!テレビで観たのと同じだ~!」

 なんて、ミーハーみたいに心騒ぐのだ。


 但し、同世代以上の男性棋士は、騒がない。

 シラーっと興味なさそうな顔をしながら、「負けるもんか!」と闘志を燃やす。



  <続く・・・>


【解説】

 羽生さん・・・将棋棋士・羽生善治永世七冠のこと。

  羽生善治(はぶよしはる)のプロフィール。(詳細 wikipedia

  将棋界が実力制になって約80年、史上最強の棋士。

  将棋界七大タイトル(名人・竜王・王位・王将・王座・棋聖・棋王)の全て永世称号を有する。史上唯一人。

  タイトル獲得数99期は歴代最多。通算対局数は2000局を超え、通算勝利数も歴代最多の1434勝(更新中)。

  そして、何より史上最強の根拠は、通算勝率が7割を超えていることだ。

  タイトルを1期獲得することもできない棋士が8割。1年間だけ勝率7割を記録することも困難な中、この実績である。

  藤井聡太君(棋聖・王位)が将来羽生さんを抜く可能性は大いにあるが、最速でも15年以上先の話である。


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